老人ホームのホームページ制作ガイド|家族が選ぶ信頼と安心の伝え方
2025-06-04
監修:久保谷 太志
経済産業大臣認定 中小企業診断士 / Web制作ディレクター
目次
はじめに|ホームページが「信頼される老人ホーム」の第一条件に
かつて老人ホームの選定は、パンフレットや紹介業者の案内、知人からの口コミに頼ることが一般的でした。
しかし現在では、ご家族がインターネットで情報を検索し、複数の施設を比較検討したうえで見学予約や資料請求を行うのがスタンダードとなっています。
その中でも、最初に目にする「ホームページ」が与える印象は非常に大きな意味を持ちます。
実際に多くの方が、「信頼できそうか」「介護の体制は万全か」「職員の人柄が伝わってくるか」といった点を、まずホームページから感じ取ろうとしているのです。
老人ホームの選択において、入居者本人ではなく家族が意思決定の中心を担うことがほとんどです。
だからこそ、ホームページはご家族が安心できる情報設計・見やすいデザイン・信頼感のある構成を持っている必要があります。
たとえば、施設の外観や居室、スタッフの笑顔、食事の風景など、**日常の“見える化”**がなされていれば、ご家族は「ここなら安心して任せられる」と感じやすくなります。
反対に、情報が少なく、スマホで見づらい・更新が止まっているようなホームページは、それだけで「この施設は不安」と判断されてしまうことも珍しくありません。
つまり、老人ホームにとってホームページとは、単なる情報発信ツールではなく、
「信頼され、選ばれるための入り口」そのものなのです。
このガイドでは、そんな老人ホームのホームページについて、
ご家族が何を求めているのか、どんな情報を載せれば安心感を伝えられるのか、そして選ばれる施設になるための具体的な構成・デザイン・事例・費用感までを、徹底的に解説していきます。
ご自身の施設のホームページを見直したい方も、これから新規で立ち上げようという方も、
ぜひ本記事を参考に、「信頼と安心」を伝える第一歩を踏み出してください。
✅ 老人ホームのホームページ制作なら、【株式会社 KUBOYA】にご相談ください!
1. 老人ホーム選びの 9 割は「ご家族による Web 検索」から始まる
高齢者施設の選定は、もはやチラシや紹介だけに頼る時代ではありません。
現代のご家族は、**「まずはスマホで調べて比較する」**という行動が定着しています。
その中で最も重視されるのが、施設の公式ホームページです。
見学予約や問い合わせの前段階として、複数の施設を並べて情報や印象を比較する行動は、ごく自然な流れになっています。
1-1. 資料請求・見学予約の前にホームページで比較される
老人ホームを探すご家族は、ほとんどの場合「比較表」のような形で候補をいくつかピックアップしています。
その比較材料になるのが、各施設のホームページに掲載されている情報と印象です。
- 居室の写真がきれいか
- 料金やサービス内容が明確か
- スタッフの雰囲気が伝わってくるか
- スマホで見やすく、使いやすいか
これらの要素を見て、「ここなら良さそう」と感じた施設にだけ見学予約や資料請求をするのが一般的です。
つまり、ホームページの印象次第で候補にすら入らないということも十分あり得るのです。
1-2. Google マップ・口コミだけでは伝わらない「安心感」
「Google マップで見たら評価が高かったから」「口コミが良かったから」
——確かに、これらも施設選びのヒントにはなりますが、それだけで決定する人はほとんどいません。
口コミや評価点数は参考にされる一方で、
- 施設の清潔感
- 職員の人柄
- 生活の雰囲気や自由度
- 医療との連携体制
といった、実際に“預ける不安”を払拭する情報は、ホームページでなければ伝えきれません。
特に写真や動画、スタッフの紹介、施設長の言葉などは、「ここに任せて大丈夫」という感覚を与える決定的要素となります。
1-3. 信頼できるホームページが集客・満床率を大きく左右する理由
老人ホームの経営において、満床率の安定は経営の柱です。
しかし、定員に対する問い合わせが少ない・資料請求が来ないと感じている施設の多くは、ホームページが原因である可能性があります。
- 情報が少なく更新も止まっている
- スマホで見づらい
- 雰囲気が伝わらない写真ばかり
- 他の施設と比べて印象が弱い
こうした状況では、せっかく見つけてもらっても選ばれないのです。
反対に、しっかりと設計されたホームページは、施設の魅力をわかりやすく伝え、「問い合わせ」「見学予約」「資料請求」へと自然に導く役割を果たします。
つまり、信頼されるホームページは「営業担当の代わり」として 24 時間働き続ける資産であり、
老人ホームの集客・経営安定に直結する、今や必須の戦略的ツールなのです。
2. ご家族が安心する老人ホームのホームページに必要な 7 つの情報
老人ホームを探しているご家族が最も求めているのは、「ここなら安心して任せられる」という確信です。
それを伝えるためには、どれだけ信頼性の高い情報を、わかりやすく・丁寧に届けられるかがカギとなります。
この章では、ご家族の不安を解消し、問い合わせ・見学予約へとつなげるために必須となる 7 つの情報項目を紹介します。
2-1. 外観・居室・食事風景などの写真と動画
写真や動画は、テキスト以上に施設の雰囲気を伝える最強のツールです。
トップページや施設紹介ページには、以下のような実際の写真を必ず掲載しましょう。
- 建物の外観・エントランス
- 個室・共有スペース・浴室などの設備
- 食事のメニューや提供風景
- スタッフと入居者の交流シーン
また、可能であれば**1〜2 分程度の動画(施設紹介ムービー)**を掲載することで、見学前でも臨場感を感じてもらえます。
「どんな場所なのか、どんな人がいるのか」を視覚的に示すことは、ご家族の心理的ハードルを大きく下げる効果があります。
2-2. 医療・看護・介護体制の詳細
ご家族が最も重視するのが、医療・看護・介護体制が整っているかどうかです。
以下のような情報を具体的に記載すると、信頼性が高まります。
- 看護師・介護士の配置体制(例:日中常駐・24 時間体制など)
- 協力医療機関との連携内容
- 緊急時の対応フロー
- リハビリ・機能訓練の実施状況
「医師が定期訪問します」「夜間もオンコール体制があります」などの明記により、安心できる医療的バックアップがあることを伝えることが重要です。
2-3. 料金体系とその内訳(月額・入居一時金)
料金は、最も比較されやすく、同時にわかりづらいポイントでもあります。
**「なるべくシンプルかつ明確に」**を心がけ、以下のような情報を表や図解で掲載しましょう。
- 月額費用の内訳(家賃・管理費・食費・介護費用など)
- 入居一時金の有無・金額
- オプションサービスの内容と費用
- 医療費・介護保険自己負担など、別途発生する可能性のある費用
ご家族にとっては、「後から追加費用が発生しないか」という不安があるため、すべての費用をできるだけ開示することが信頼構築につながります。
2-4. スタッフ紹介・施設長のメッセージ
入居者と最も接するのはスタッフです。
だからこそ、スタッフの顔や人柄が見えるページは、ご家族の安心感を大きく左右します。
- スタッフの写真と簡単な紹介(例:名前・担当・ひとこと)
- チーム体制や介護への想い
- 施設長からのごあいさつ(動画や文章)
「ここには温かい人たちがいる」と感じてもらえることで、無機質な施設ではなく“人のいる場所”として親近感を持ってもらえます。
2-5. レクリエーション・日常生活の紹介
ご家族が気にするのは、“ただ生きているだけの生活”ではなく、充実した日常を送れているかどうかです。
- 季節のイベントや外出行事の様子
- 毎日のレクリエーション活動
- 趣味・クラブ活動の紹介
- 食事や入浴、自由時間の過ごし方
ブログ形式で日常風景を発信する施設も増えており、施設での生活が「楽しいもの」であることを継続的に見せることができます。
これは他の施設との差別化にも有効です。
2-6. 入居までの流れ・見学予約フォーム
問い合わせや見学予約への導線が不親切だと、それだけで機会損失につながります。
「入居するまでの流れがわからない」というご家族も多いため、以下のように明示しましょう。
- 資料請求・お問い合わせ
- 見学予約
- 面談・ヒアリング
- 契約・入居手続き
- 入居開始
あわせて、見学予約フォームや LINE 相談・電話番号なども目立つ場所に配置することで、アクションを後押しできます。
2-7. よくある質問とお問い合わせ先の明記
よくある質問(FAQ)は、ご家族が感じる不安を事前に払拭する役割を果たします。
例えば:
- 入居条件はありますか?
- 医療的ケアはどこまで対応していますか?
- 体験入居はできますか?
- 退去時の費用精算はどうなりますか?
こうした疑問にあらかじめ答えることで、信頼感と納得度を高めることができます。
また、メール・電話・フォームなど、すぐに連絡できる手段を明確に表示することも忘れずに。
これら 7 項目を丁寧に伝えることで、「不安が解消され、信頼できる施設だ」と感じてもらえるホームページが実現できます。
ただ情報を載せるのではなく、ご家族の目線で、知りたい情報を的確に届けることが最大のポイントです。
3. 「信頼できる施設」に見せるためのデザイン・構成のポイント
どれだけ素晴らしい介護体制やスタッフを揃えていても、ホームページの第一印象が悪ければ、その魅力は伝わりません。
施設の価値を正しく伝えるには、「信頼感のあるデザイン・構成」が不可欠です。
この章では、ホームページを通じて**“ここなら安心して任せられそう”と感じてもらうためのデザインの工夫や注意点**を詳しく解説します。
3-1. 色使い・フォント・余白で印象が決まる
視覚的な印象は、訪問者がページを開いたわずか 3 秒以内に判断されるといわれています。
このときに重要なのが、「色」「文字」「余白」の使い方です。
- 色使いは、淡いブルーやグリーン、ベージュなどの安心感・清潔感を連想させる色が好まれます。派手すぎる赤や黒は避け、穏やかなトーンを基調にしましょう。
- フォントは丸みのある読みやすいゴシック体(例:Noto Sans、游ゴシック)などを採用。可読性と親しみやすさを両立させることがポイントです。
- 余白も極めて重要で、情報を詰め込みすぎず呼吸するようなスペースを設けることで、読みやすさと高級感を演出できます。
これらの工夫によって、訪問者は無意識に「きちんとした施設だな」「管理が行き届いていそう」と感じるのです。
3-2. スマホ最適化と高齢者にも見やすい UI
現代のユーザーの約 7 割以上がスマートフォンからホームページを閲覧しているというデータもあり、スマホ対応はもはや必須です。
特に、施設の情報を調べているご家族は、仕事の合間や移動中にスマホで確認しているケースが多いため、次のような配慮が重要です。
- 文字サイズは 16px〜18px 以上を推奨
- ボタンやリンクはタップしやすい大きさに
- 画像や動画はモバイル端末でも崩れないようレスポンシブ設計
- メニューはハンバーガーメニュー形式+戻るボタン対応
また、施設入居を検討している高齢者本人が閲覧するケースも考慮し、シンプルで迷わない導線設計や読みやすさへの配慮が大切です。
3-3. 実際の事例写真を使った安心感の演出
他施設との差別化を図るうえで欠かせないのが、実際の写真の活用です。
フリー素材やイメージ画像ではなく、実在の施設・スタッフ・利用者の姿を映した写真を使うことで、ホームページの信ぴょう性と安心感は格段に高まります。
特に効果的なのは以下のような場面です:
- 笑顔で対応するスタッフと入居者の交流
- 食事のシーンやレクリエーションの様子
- 明るく整った個室や廊下の様子
- 季節イベントの写真(例:お花見、夏祭り)
こうした写真をふんだんに使うことで、「こんな雰囲気で過ごせるのか」と具体的なイメージが浮かび、“施設の生活が見える化”されて信頼に繋がります。
3-4. 安易なテンプレート型ホームページのリスク
ホームページ制作費を抑えようとするあまり、既成テンプレートをそのまま流用したホームページを利用する施設も少なくありません。
しかし、これは以下のようなリスクを孕んでいます。
- 他の施設と似たようなデザインになり埋もれる
- 写真や文章が施設の実情に合っていない
- SEO 対策がされておらず検索順位が上がらない
- スマホ対応や更新機能が不十分でユーザー離脱につながる
施設ごとに魅力や強みは異なるからこそ、「オリジナル設計」で安心感・独自性を打ち出すことが重要です。
“誰が見ても同じに見えるサイト”ではなく、“この施設にしかない魅力”を届ける構成にすることが、信頼と選ばれる理由に直結します。
デザインや構成は、ただ見た目を整えるためではなく、「安心して任せられるかどうか」を直感的に伝えるための重要な要素です。
見た目で損をしないためにも、しっかりと戦略的に設計されたホームページを構築していきましょう。
📘 続けて読みたい関連記事
👉 介護施設ホームページ制作で失敗しない方法|信頼を得る構成とデザインのコツとは?
4. 老人ホームのホームページ構成例とサイトマップ案
老人ホームのホームページは、ただ情報を並べるだけでは十分ではありません。
「信頼感を与え、問い合わせ・見学予約につなげる」ためには、情報の順序や配置=構成が非常に重要です。
ここでは、実際に成果を出している老人ホームに共通する構成例と、理想的なサイトマップの形をセクションごとに解説します。
4-1. トップページ:第一印象で信頼を得る
トップページは、まさにホームページの顔です。
ここで与える第一印象が、「この施設に問い合わせるか、それとも離脱するか」を左右します。
構成のポイント:
- 最初に安心感を与えるキャッチコピー(例:地域で選ばれ続ける、安心の介護)
- 外観や施設内の写真スライダーや動画
- 料金・見学予約・問い合わせなど主要導線へのリンクバナー
- 最新のお知らせ・ブログ更新情報
訪問者が最初に目にするこのページで、信頼感・清潔感・人の温かさを伝えることが最優先です。
4-2. 施設紹介ページ:写真と詳細情報で具体性を
ご家族は「どんな場所なのか」を明確に知りたいと思っています。
施設紹介ページでは、視覚情報(写真・図)+説明文を組み合わせて、施設の特徴を具体的に伝えましょう。
掲載すべき内容:
- 建物の外観、内装、居室、浴室、共有スペースなどの写真
- 食事・レクリエーションスペースの紹介
- 建物の構造や耐震性能、安全対策など
写真+簡潔な文章をセットで配置することで、「生活の場」としてのイメージが湧きやすくなります。
4-3. スタッフ紹介ページ:人柄と信頼感の伝達
どんなに施設が整っていても、最終的に選ばれるのは**「人」**です。
スタッフ紹介ページでは、人柄やチームの雰囲気が伝わるように構成しましょう。
構成の工夫例:
- スタッフの顔写真と役職、簡単なコメント(例:「〇年目のケアマネージャーです」)
- 介護方針やチーム体制の説明
- 施設長からのメッセージ(理念・想い・ご家族への一言)
「安心して任せられそう」と感じてもらえるよう、写真の印象と文面のトーンを統一させるのがポイントです。
4-4. 利用案内ページ:料金・空き状況・入居条件
ご家族が最も気になる項目のひとつが「費用と入居条件」です。
不明瞭な説明は不安を招くため、なるべく詳細に、かつ見やすく整理することが重要です。
掲載項目:
- 月額費用とその内訳(家賃・管理費・食費など)
- 入居一時金・敷金・契約金の有無
- 現在の空室状況(例:「○ 月現在、個室 1 部屋空きあり」)
- 入居条件(要介護度・医療対応可能範囲など)
表やアイコン・図解を活用することで、視認性と信頼性が向上します。
4-5. 日常風景・イベント紹介ページ:生活の豊かさを演出
「毎日どんなふうに過ごしているのか?」を伝えるページは、ご家族にとって非常に安心材料になります。
掲載コンテンツの例:
- 季節ごとのイベント(花見、誕生日会、夏祭りなど)
- 日常のレクリエーションや運動プログラム
- 入居者同士の交流やスタッフとのやり取りの写真
- 食事・おやつの一例
このページでは「生活の楽しさ・穏やかさ・人とのつながり」が伝わる構成を意識しましょう。
ブログ形式で定期的に更新するのも非常に効果的です。
4-6. よくある質問(FAQ):ご家族の不安を解消
FAQ ページは、ご家族が事前に感じる不安や疑問を解決する場です。
これにより、問い合わせのハードルが下がり、施設への信頼度も高まります。
質問例:
- 体験入居はできますか?
- 看取り対応はしていますか?
- 医療処置(胃ろう・点滴など)は可能ですか?
- 家族の面会は自由ですか?
- 退去時の精算方法は?
Q&A 形式+検索性のある構成で、目的の回答にすぐたどり着けるようにしましょう。
4-7. 資料請求・見学予約ページ:CTA の最重要ポイント
コンバージョン(問い合わせ・予約)を得るための最重要ページです。
「電話だけ」「メールだけ」ではなく、スマホから簡単に送れるフォームの設置が必須です。
推奨構成:
- 資料請求フォーム(氏名・住所・電話番号・資料送付希望項目)
- 見学予約フォーム(希望日・希望時間・同行者など)
- 問い合わせフォーム
- 電話番号と受付時間の明記(タップで発信可能に)
**「たった 1 ページで完結する手軽さ」と「信頼できる雰囲気」**を両立させましょう。
また、CTA ボタンは常に画面下に固定するなど、スマホ利用者への配慮も重要です。
このような構成に沿ってホームページを設計することで、施設の魅力と信頼性を正しく伝え、ご家族の行動(問い合わせ・見学予約)を自然に促す導線が完成します。
自社サイトを作成・リニューアルする際は、これらのページ構成を基本としつつ、施設独自の魅力をうまく盛り込んでいきましょう。
5. 制作費用の相場と内訳|初期費用・運用コストの目安
老人ホームのホームページ制作を検討する際、最も気になるのが「費用感」ではないでしょうか。
とはいえ、価格だけで判断してしまうと、信頼性の低いホームページになってしまうリスクもあります。
この章では、実際の相場から、費用の内訳、コストを抑えるコツ、さらには補助金や助成金を活用する方法までを丁寧に解説します。
5-1. 初期制作費用の相場(30〜80 万円)
一般的に、老人ホームのホームページ制作にかかる初期費用の相場は 30〜80 万円前後です。
ただし、内容や依頼先によって費用は大きく変動します。
料金に含まれる主な内容:
- トップページ+下層 5〜8 ページの制作
- スマホ対応(レスポンシブデザイン)
- CMS(WordPress など)による更新機能の実装
- 写真の撮影・画像加工(別料金の場合も)
- 基本的な SEO 対策(タイトル・メタタグなど)
料金が安い場合はテンプレート使用、
高めの料金帯ではオリジナルデザイン+撮影込み+丁寧な設計といった傾向があります。
施設の規模や求めるクオリティに応じて、価格と内容のバランスを見極めることが重要です。
5-2. 月額管理費・保守費用の相場(5,000〜20,000 円)
ホームページは公開した後がスタートです。
運用を安心して任せるために、月額の保守管理契約を結ぶ施設も多く、相場は 5,000〜20,000 円/月が一般的です。
月額費に含まれる内容例:
- サーバー・ドメインの維持管理
- セキュリティ対応(SSL・バックアップ・脆弱性対策)
- 軽微なテキスト修正(月 ◯ 回まで)
- システム更新(WordPress など)
- トラブル時のサポート窓口
ブログ更新代行やアクセス解析・改善提案などを含めると、2 万円を超えることもありますが、施設側の業務負担を軽減しつつ安心運用できる体制が整います。
5-3. 安く抑えるコツと注意点(テンプレート・自作)
コストを抑えたい場合、テンプレート型のホームページ制作や**自作(Wix・ペライチ・Jimdo など)**も選択肢になりますが、注意点も多くあります。
▼ テンプレート利用のメリット・注意点:
メリット:
- 初期費用を 10〜30 万円程度に抑えられる
- デザインがある程度整っている
- 短納期で公開できる
注意点:
- 他施設と似た印象になりやすい
- 情報量・柔軟性に制限がある
- SEO や導線設計が弱く、反響が出にくい
▼ 自作(無料〜格安サービス)の注意点:
- 更新が続かないと「放置された印象」に
- 独自ドメインが使えないことも多い
- スマホ対応やセキュリティ面で不安が残る
結果として、初期費用を抑えても“問い合わせにつながらないサイト”になる可能性が高いため、中長期的には外注した方が効果的なケースも多いのが実情です。
5-4. 補助金・助成金が使えるケースとは?
ホームページ制作には、公的な補助金・助成金が活用できる可能性もあります。
とくに法人運営の老人ホームや介護事業者では、以下の制度をチェックしましょう。
▼ 主な制度例:
-
小規模事業者持続化補助金
→ 最大 50 万円(条件次第で 100 万円)まで補助
→ ホームページ制作・チラシ・広告などに使える
→ 商工会議所の支援を受けながら申請可能 -
IT 導入補助金
→ ホームページや予約システムなどの IT ツール導入に活用
→ 登録された IT ベンダー経由で申請が必要 -
地方自治体独自の補助制度
→ 一部の市区町村では、医療・介護・地域福祉系事業者向けの広報支援金を設けているケースあり
補助金申請のサポートも行っている制作会社に依頼することで、よりスムーズに活用できる可能性が広がります。
ホームページ制作は、単なる支出ではなく、**「入居率や信頼性を高める投資」**です。
費用の内訳を把握し、自社に最適な制作方法を見極めながら、効果的なホームページづくりを目指しましょう。
6. 制作会社の選び方|失敗しないパートナー探しの 5 つの視点
老人ホームのホームページ制作において、どの制作会社に依頼するかは、完成後の効果や満足度を大きく左右します。
ただ価格だけで選んでしまうと、「期待していた内容にならなかった」「更新しづらくて使いづらい」「問い合わせにつながらない」といった後悔につながりかねません。
ここでは、信頼できる制作パートナーを見極めるための 5 つのチェックポイントをご紹介します。
6-1. 介護・医療業界に強い実績の有無
制作会社にはそれぞれ得意分野があります。
老人ホームのホームページ制作では、介護・医療業界の実績があるかどうかを最優先で確認しましょう。
チェックすべきポイント:
- 介護施設・医療機関の制作実績があるか?
- 利用者やご家族の視点に立った構成になっているか?
- 実績ページやポートフォリオで確認できるか?
高齢者施設に特化した制作実績がある会社は、必要な情報やご家族の不安心理を理解したうえで提案してくれるため、安心して任せられます。
6-2. 更新しやすい CMS 設計(WordPress など)
ホームページは一度作って終わりではありません。
イベント情報の更新、空室状況の案内、ブログなどをスムーズに発信できる構造が必要です。
そこで重要なのが、**CMS(コンテンツ管理システム)**の導入です。
中でも WordPress は、以下の理由から介護施設にとって相性が良いとされています。
- スタッフでも簡単に更新できる
- お知らせやブログの追加が容易
- カスタマイズ性が高い
- 拡張機能(プラグイン)が豊富
CMS 未導入のホームページは毎回制作会社に依頼する必要があり、更新コストと手間がかさむため、長期運用を考えるなら必須です。
6-3. 写真・動画撮影までトータル対応できるか
老人ホームの魅力を伝えるには、プロによる写真・動画が非常に重要です。
文章だけでは伝わらない施設の雰囲気・清潔感・スタッフの人柄を可視化できるからです。
チェックポイント:
- 撮影込みのプランがあるか?
- 撮影ディレクション(構図や演出)の実績があるか?
- 動画制作や YouTube 掲載にも対応しているか?
写真撮影を外部カメラマンに別手配するとコストも手間も増えるため、撮影まで一括で任せられる会社が理想です。
6-4. 公開後の保守・運用体制
公開後も「更新・管理・トラブル対応」が必要になります。
信頼できる制作会社は、制作だけでなく“その後”のサポート体制もしっかり整えています。
確認しておきたい点:
- 月額の保守管理プランの内容と価格
- 緊急時対応(サイトが見られない・エラーなど)
- 更新代行やアドバイスの有無
- 担当者と継続的に連絡が取れるか
**「納品したら終わり」ではなく、「一緒に運用してくれるパートナーかどうか」**を見極めましょう。
6-5. スマホ最適化・SEO 対策の有無
ご家族の多くは、スマホから施設を検索・閲覧しているため、スマホ表示の完成度は非常に重要です。
また、Google 検索で上位表示されるための基本的な SEO 対策も、問い合わせ件数に直結します。
チェック項目:
- レスポンシブ対応(PC/スマホ/タブレットでの最適表示)
- 表示速度の最適化
- タイトルタグ・ディスクリプションの設計
- 構造化データ・内部リンクの工夫
- 施設名+地域名での検索順位を意識した構成
「SEO 対策できます」とだけ記載している会社も多いですが、具体的な取り組み内容を確認することが大切です。
ホームページは施設の「信頼力」を可視化し、問い合わせを獲得するための営業ツールです。
制作会社選びを間違えないためにも、実績・更新性・対応力・運用体制・SEO 知識の 5 つの視点を基準に、納得のいくパートナーを見つけましょう。
7. 自作 vs 外注|どちらが適しているかを判断する基準
老人ホームのホームページ制作を検討する際に、よく出てくるのが**「自作すべきか、それとも外注すべきか」**という問題です。
一見すると、費用の面で自作が有利に思えるかもしれませんが、実際の運用や反響獲得まで考えると、注意すべきポイントも多くあります。
この章では、自作と外注それぞれのメリット・デメリットを整理し、どちらの方法が自施設にとって最適なのか判断するための視点を解説します。
7-1. 自作のメリット・デメリット
▼ メリット
- コストを大幅に抑えられる(無料〜数万円で構築可能)
- 構成や更新を自分のペースで進められる
- 素早く仮公開できる(プレオープン段階でとりあえず公開など)
Wix、Jimdo、ペライチ、Canva の Web サイト機能など、近年はノーコードで簡単に作れるツールが充実しています。
運用スキルがあるスタッフがいれば、ある程度の体裁を整えることは可能です。
▼ デメリット
- デザインがテンプレートに限られ、差別化しにくい
- SEO 対策・導線設計が不十分になりやすい
- セキュリティやバックアップ、サーバー設定などに不安が残る
- 時間的コストが非常に大きくなる(慣れない作業で何十時間もかかる)
とくに**「反響を得るサイトにしたい」「信頼感を重視したい」**という目的がある場合は、自作の限界を早い段階で感じるケースが多いです。
7-2. 外注のメリット・デメリット
▼ メリット
- プロの設計により信頼性の高いホームページが作れる
- SEO・導線設計・更新のしやすさなどが初めから最適化されている
- 写真撮影や文章作成なども一括で依頼できる
- 公開後も運用・保守まで任せられる
とくに高齢者施設では、「安心」「清潔感」「人柄」など、言葉では伝えにくい要素を見せる工夫が重要です。
経験のある制作会社なら、ご家族の心理をふまえた設計や表現の提案が可能です。
▼ デメリット
- 初期費用が数十万円かかる(相場:30〜80 万円)
- 納期が 1〜2 か月ほどかかるケースもある
- 制作会社選びを間違えると、期待したクオリティに届かない可能性も
とはいえ、問い合わせ数や満床率アップにつながるなら、十分に費用対効果が見込めるといえるでしょう。
7-3. 運用体制や更新頻度から見る最適解
最終的に自作と外注のどちらを選ぶべきかは、施設のリソース(人材・時間・スキル)と運用体制によって変わります。
判断基準 | 自作に向いているケース | 外注に向いているケース |
---|---|---|
人材リソース | デザインや IT に詳しい職員がいる | 制作専任者がいない、兼任で手が回らない |
予算 | 初期費用を極力抑えたい | 初期投資で成果を得たい |
更新頻度 | 更新は年 1〜2 回程度で OK | イベント告知やブログ更新が多い |
重視するもの | とりあえず情報を出したい | 反響・信頼・ブランディングを重視 |
また、最初は外注で基盤を整え、その後の更新は自社で行うハイブリッド型もおすすめです。
WordPress などの CMS を導入すれば、制作後の運用を自社で効率的に回すことも可能になります。
ホームページは「作る」ことが目的ではなく、「成果を出す」ための手段です。
自作と外注、それぞれの特性を理解したうえで、自施設の目的や体制に合った選択をしていきましょう。
8. よくある質問(FAQ)
老人ホームのホームページ制作を検討する際、ご担当者や施設長からよく寄せられる質問をまとめました。
ここでは、実務で頻出する疑問について、実際の制作現場の視点を交えながら具体的に解説します。
サイトの質を高め、安心感を提供するうえでのヒントとしてご活用ください。
Q. 施設紹介の写真は何を撮ればよいですか?
ホームページに掲載する写真は、「安心感」と「生活の具体性」を伝えるための重要な素材です。
下記のような写真を撮影しておくと効果的です。
- 施設外観・エントランス・看板
- 居室(個室・共有部屋)や浴室
- 食堂やリビングスペース
- 食事の盛り付け例(実際のメニュー)
- レクリエーションやイベント風景
- 職員が入居者と交流しているシーン
特におすすめなのが、スタッフと利用者の自然な笑顔が映っている写真です。
人の温かさや、日常の穏やかさが感じられるカットは、ご家族の安心感に直結します。
Q. 利用者の顔を出しても問題ありませんか?
利用者の写真をホームページに掲載する場合は、必ず本人または家族の「肖像権」「プライバシー権」への配慮が必要です。
対応ポイント:
- 撮影時に同意を得たうえで「使用目的」「掲載範囲」を説明
- 同意書の取得(施設ごとに様式を用意)
- 担当者名・問い合わせ窓口を明記しておくと丁寧
どうしても許可が難しい場合は、後ろ姿や手元、顔にぼかしを入れるなどの加工で対応可能です。
信頼性のある写真を掲載するためにも、倫理的配慮+事前確認が重要です。
Q. 入居申し込みフォームはオンライン化できますか?
はい、可能です。
ホームページ内に資料請求・見学予約・入居申し込みの各種フォームを設置することは、近年ではスタンダードになりつつあります。
導入のメリット:
- 24 時間受付できる
- 電話対応の手間を削減できる
- 入力情報をそのまま CSV やメールで保存できる
- 見学予約と申込の一元管理がしやすい
加えて、Google フォームや LINE 連携などの簡易ツールを使えば、低コストでオンライン化を実現することも可能です。
Q. ブログやお知らせ機能は必要ですか?
結論から言うと、非常に有効です。
理由は以下の通りです:
- 日々の様子を伝えることで、生活の雰囲気を“見える化”できる
- 定期更新されているサイトは、運営の誠実さを印象づける
- SEO(検索エンジン対策)においても有利になる
- 「見学予約前に安心できる情報源」として活用される
スタッフが負担にならない頻度(月 1〜2 回程度)でも良いので、日常の風景・季節のイベント・スタッフの声などを発信することで、競合施設との差別化にもつながります。
Q. 地域密着型施設でも SEO は効果がありますか?
はい、むしろ地域密着型だからこそ SEO が非常に効果的です。
多くのご家族が検索するのは、
- 「〇〇市 老人ホーム」
- 「△△ 区 介護付き有料老人ホーム」
- 「〇〇町 サ高住 見学」
といった**“地名+施設種別”**の組み合わせです。
つまり、地域キーワードをきちんと押さえたサイト構成・見出し・ページタイトルを設計すれば、検索結果の上位表示が狙いやすくなります。
加えて、
- 地域イベントとの連携情報
- 周辺の交通アクセス
- 近隣病院や買い物施設の紹介
などを盛り込むことで、地域とのつながりの深さが伝わり、SEO 評価と信頼感の両方を高めることができます。
FAQ は、「まだ問い合わせるほどじゃないけど気になっていること」に対する答えを示す、大きな安心材料かつ CV(問い合わせ)への誘導装置です。
ご家族の目線に立って、丁寧かつわかりやすい言葉でまとめましょう。
まとめ|「信頼」と「安心感」を伝えるホームページが、施設の未来を変える
老人ホームのホームページは、単なる情報掲載の場ではありません。
それは、ご家族にとって「人生の選択」を後押しする、信頼の入り口です。
入居を検討するご家族の多くは、不安と責任を抱えながら、慎重に施設を探しています。
そのとき、ホームページから感じられる**「清潔感」「温かさ」「人柄」「生活の様子」「料金のわかりやすさ」**は、施設選びに大きな影響を与えます。
本記事では、以下のポイントに沿って、成果につながる老人ホームのホームページ制作のすべてを解説してきました:
- ご家族が安心するために必要な情報設計
- 写真・動画を活用した視覚的な信頼づくり
- トップページから問い合わせまでの自然な導線
- SEO やスマホ最適化を意識した構成
- 予算に合わせた制作・運用方法の選択肢
そして何より大切なのは、「誰にとってのホームページなのか」を常に意識することです。
それは施設側ではなく、**ご家族や入居者本人に向けた“信頼を届ける窓口”**であるべきです。
施設にとってホームページは、採用や地域連携、ブランディングにも効果を発揮する中核ツールになります。
新規入居者の獲得だけでなく、継続的に「選ばれ続ける施設」になるための土台ともいえるでしょう。
もし今、「更新が止まっている」「スマホで見づらい」「情報が古い」といった状態のまま放置しているなら、それは機会損失以外の何ものでもありません。
本気で“信頼される施設”を目指すなら、
ぜひこの機会にホームページを見直し、ご家族の「安心」と「納得」を得られるサイト設計に取り組んでみてください。
その第一歩が、施設の未来を変える大きな分岐点になるかもしれません。
📘 続けて読みたい関連記事
👉 訪問看護事業者のホームページ制作ガイド|信頼される施設紹介と採用につなげる構成とは?